年齢を重ねことで肌は様々な変化が起こりますが、表情筋と肌の衰えは深く関係しています。規則正しい生活やバランスの良い食事、十分な睡眠、適度な運動、ストレスを避けた生活を意識していても、残念ながら肌の中では機能低下がジワジワと起きてくるのです。
表情筋は加齢とともに衰え膠着する
顔の表情筋は、表情を作り出すために働く筋肉の集合体です。きしめんのように薄く、年を重ねることに伴い体と同じように筋肉の質が低下し、量も減ってきます。筋肉を構成している筋繊維が減少し膠着し、動かす能力も低下してしまいます。この現象は、表情筋の凝りに関係し、顔の表情が固く乏しくなることにつながるのです。表情筋の筋力が弱まることで、肌に触れたときのハリ・弾力も低下し、表情筋が支えていた皮ふも重力で緩んで下に落ちてきます。表情筋の衰えは体全体の変化にも影響してくるので、普段から全身を適度に動かしたり、顔や頭皮や首、肩などの筋肉同士のコミュニケーションを意識したエクササイズをすることも大事です。
顔の表情筋とともに脂肪も減少し、移動する
顔の皮下脂肪の状態も筋肉と同じように加齢によって変化します。若い頃は頬や顔全体に豊富な脂肪があり、肌の滑らかさやふっくらしたボリュームを提供し、かわいい印象をもたらしてくれます。しかしながら、50歳を過ぎたころから脂肪組織が変化し、特に頬の部分で脂肪が移動したり内部へ吸収が起こり減少します。表情筋と脂肪は共同して顔の形を作っているので、表情筋の弱まりと脂肪組織の減少が結びつくことで、顔全体のボリュームロスや輪郭の変化が生じます。顔の皮下脂肪の量はできるだけ減らさずに、表情筋の力を借りて皮下組織と皮ふのポジションを維持しておくことが必要です。
顔の下半分が長くなる
人それぞれの骨格に寄り程度は異なりますが、筋力の低下とともに長年の重力の影響も受け、一部の脂肪が下へ移動します。特に顔の下部が伸びてたるみやシワ、ほうれい線が現れます。鼻の下が伸び、口角が下がり、目の位置から口角までの距離も長くなります。この距離が短い方が幼い顔立ちとなるので、長くなることで若々しさが失われてしまいます。このような変化には個人差がありますが、顔の印象に何かしらの影響を与えているのです。表情筋を鍛えるお手入れ法は、顔のポジションつまり顔全体の黄金バランスを保つために重要な手段と言えるでしょう。
左右の表情に差が生まれる
誰でも起こる代表的な加齢変化は表情の左右差です。長年の表情クセは明らかな形として、顔の表情に表れてきます。片側で噛むクセがある、カバンを片側の方だけにかける、いつも同じ方向の脚を組むなど、日々の生活で左右対称に行動を起こしているとは限りません。この作用異なる分離運動が、負の連鎖となり顔の左右差を作ってしまいます。表情筋エクササイズは普段動かさない方向での筋肉トレーニングでもあるので、長年のクセをリセットさせることが期待できます。
皮ふのターンオーバーや血行不良、神経にも関係
加齢により表情筋が衰えると、シワやたるみ以外にも肌にさまざまな影響が現れることがあります。肌の代謝、つまり細胞の生まれ変わりや血流やリンパの流れへの影響です。肌の代謝が正常だと、良い肌=血色の良いうるおった肌が生まれてきます。また、高齢になると神経の伝達が遅く鈍くなり、神経と表情筋との連携が弱まり顔の表情に影響を与える場合があります。体と同じように、顔の筋肉も適度に動かす習慣を作ることで、肌の代謝も良くなり肌のトーンや質感を美しく維持することができるのです。毎日の歯磨きのように、無理をせずに生活の習慣に表情筋を動かすトレーニングを取り入れると良いでしょう。
一日何度も鏡を見よう
大きな鏡を使って自分の顔を見ることで、表情の変化や肌状態、しわ、シミに気づくことができます。これにより、表情筋を積極的に使用する習慣がつくかもしれません。適切なスキンケアと合わせて表情筋トレーニングを実践することで、肌の健康をサポートできます。さらに、鏡を通して上半身の姿勢を確認することで、良い姿勢を維持する習慣がつきます。良い姿勢は、顔と身体の全体的な筋肉の調和と健康に寄与し、若々しい明るい印象をもたらす効果があります。その他にも、良質なタンパク質の摂取、十分な睡眠、日常の水分補給など、筋肉をサポートする習慣を取り入れることも重要です。鏡を一日数回見ると、その度に美意識が高まりますし、健康な毎日を過ごすことにもつながります。表情筋トレーニングって、少しだけ手間がかかると感じるかもしれませんが、明るい未来につながる素晴らしい健康法なのです。